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と、房一は自然と紅黒い顔をひきしめた。相沢は随分永い間、それこそ房一がうんざりするほど永い間こつちをのぞきこんでいたが、
その一揃ひの紙衣裳を見て、道平はまじめに感心した。
最後に行つた家は河上の小一里るある辺で、そこいらは人家は数へるほどしかなく、河つ縁ぷちに沿つた段々畑の中を幅の広い国道だけがほの白く浮いて、次第下りに河原町の方へつゞいていた。軽くペタルを踏むだけで、彼の乗つた自転車は半ばひとりでに快い同じ速度で走つた。
「印度洋の方では、何とかいふ軍艦がたつた一隻で荒あばれまはつているんだつてね。それがちつとも捉つかまらないと云ふから面白いねえ」
一わたり済むと、練吉は最後にもう一度注意深く病人の顔をぢつと眺め、
その時、練吉はぐつと盃をつきつけた。
と、小谷は目を丸くした。欲しさうだつた。すると、逸早く、
「それあ、さうだらうなあ。なんしろ広い海のこつた!――ねえ、君」
「なるほどね」
「やあ、今晩は」
「や、さうでしたか。それは――」と、鬼倉は目に見えて和やはらいだ。
「あなたは、多分――」
今泉にはやつと徳次の考へていることが判つたので、熱心に説明した。